こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。
このブログは検索流入が多く、7~8割が新規の方です。それほどまでに新たに医薬翻訳やメディカルライティングに関心を寄せる方が多いのかと思います。とくに年始や学期はじめなど区切りの時期には何か新しいことを学びたいと思う方も多いのでしょう。
そこで参考になるか分かりませんが、たまには自分のことを書いてみたいと思います。
ひとくちにメディカル翻訳といってもさまざまです。ちょっとした医療系情報の翻訳から、論文翻訳、本格的な治験翻訳まで、範囲はあまりに広い。
その中でいま私が主に手掛けているのは、治験や薬事申請に必要な文書の医薬翻訳、新薬の研究開発と申請・販売に必要な文書のメディカルライティング、投稿論文のメディカルライティングです。
以前はCMCパートの翻訳やメディカルライティングを受注していたこともありますが、いまでは臨床の比重のほうが大きくなっています。
翻訳は、日英翻訳(英訳)にも英日翻訳(和訳)にも対応しています。
メディカルライティングでも、和文・英文とも執筆しています。
私は独立後の1~2年で重点的に医学論文の日英翻訳を担当してきました。実績はすべて書きとめていたのですが、いま振り返ってみると、ちょっと信じられないほど沢山の論文を英訳していたことになります。ところが当時はSDL Tradosを所有していたため、医療機器案件を中心に翻訳支援ツールが必須となる案件もそれなりにありました。多いときには収入の約3分の1をCAT案件が占めるようになり、すこし危機感もありました。というのも、セミナーや勉強会で先輩方からツールの功罪をよく聞いていたからです。内心では、将来的にはツール案件の割合を減らして、ツールを必要としない翻訳だけを扱いたいな、と思っていました。
もちろんツールを否定したり非難したりするつもりはありません。当時の私の状況や先々のことを考えて、私自身は、少なくとも一旦はCATツールから離れたほうが良さそうだと思っただけの話です。そしていまはツールゼロです。段々と、CATを使わない、というより使いようがない案件が増え、パソコンを入れ替えてもインストールすらしなくなりました。6年前にライセンスも切れましたが、更新せずとも済んでいます。
メディカル翻訳の範囲は本当に広いので、翻訳支援ツールや機械翻訳やポストエディットが必須となる業務もあるでしょうし、影響を受けにくい世界もあります。単に個々の現場での優先順位が違うだけなのだと思います。それぞれに需要があり、仕事があるのでしょう。その中で、どの道に進み、どのように生きていきたいのか、決めるのは自分自身です。
フリーランスである以上、時代の変化にアンテナを張り、新しい環境や技術に適応していくスキルも必要です。一方で、いま自分が何処にいて、未来には何処で何をしていたいのか、ビジョンを持って正しく努力と実績を重ねていくことも忘れてはならないのだと思います。
あくまで、私はこうだった、という一例にすぎませんが、ご参考まで。
それではまた。