専門性の落とし穴

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こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。

 

この分野の翻訳ではどうも専門性ばかりが注目される傾向にあります。

 

ところが実際には、医学論文のように専門性の高い文書であっても、専門家向けにかっちり訳してほしい場合と、すこし読みやすくしたほうが喜ばれる場合があります。用途や読者に応じて変えるべき部分と、絶対に変えてはならない部分があります。

 

もともと知識があれば、下調べに割く時間が少なく済み、納期までの限られた時間のなかで訳文のクオリティーを高めやすくなります。ただし、翻訳の範疇であれば調べ物でカバー出来る部分もあります。そのために必要なのは、どんなささいな疑問も、粘り腰でとことん追究できる能力です。

 

最も恐ろしいのは知っている「つもり」。

 

学習者さんでバックグラウンドがないことを必要以上に気にされる方は大勢いらっしゃいます。でも私は、医療系、とくにコ・メディカル職から翻訳者を目指すほうが道のりとしては厳しいように思います。理系や医療職から翻訳者を目指す人にとって一番のネックは語学力です。知識さえあれば語学力が足りなくても補えるなどということは、絶対にありません。反対に、語学に秀でた方が、知らないから分からないからと一生懸命調べてくれた訳文のほうが、安心感がある場合だってあります。

 

もちろん、知識ゼロでもできるとは言いません。難解な言葉と内容を読み解けるくらいのインテリジェンスは必須です。専門家並みの知識があれば非常に有利ですし、語学力も知識も十二分に兼ね備えた方が最強であることは、言うまでもありません。

 

その上で、この翻訳で絶対に外してはいけない場所はどこか。工夫してもよい場所はどこか。そういう識別眼を持つことも、これからは必要になってくるのではないかと思います。

 

それではまた。