バイオ・メディカルライター&メディカル翻訳者 山名文乃のブログ

バイオ・メディカルライティングと製薬・治験翻訳

翻訳は稼げる仕事なのか

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こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。

直球タイトルですみません。多くの方が心配しているのに、なかなか切り出せない質問のひとつ「翻訳は稼げる仕事なのか」「これから先も翻訳で食べていけるのか」。

一般論は有識者に譲るとして、ここでは私が知る範囲内のことだけを書きます。

少なくとも私にとっては、自身の経歴やスキルを生かしてできる仕事のなかでは「翻訳が一番楽しく、やり甲斐があり、収入になる仕事」です。これは間違いありません。

全ての翻訳者や学習者にも同じように当てはまるかどうかは、私には分かりません。当てはまる人もいるでしょうし、当てはまらない人もいるでしょう。

「稼げるのか」「食べていけるのか」と心配したくなる気持ちも分かりますが、それよりも「自分はこれでやっていく」と決めることのほうが大事だと思います。確率論で可能性が高い場に身を置いたところで、自分も必ずそうなる保証はありません。でも、覚悟を決めた人間は強い。覚悟を決めて行動できるかどうか、ではないでしょうか。実力と勇気、少しばかりの運と縁も必要かもしれません。

「覚悟」と聞くと悲壮感ただよう何かを連想される方もいますが、私はそうではないと思います。覚悟とは本来しなやかなものです。

実際に、雑誌やスクールの「需要が安定している」という謳い文句に惑わされてメディカル翻訳を志願する人が後を絶ちません。ですが、目先の損得ばかり考えて動いても、なかなか上手くはいかない。少なくとも、そのような動機でメディカル翻訳者になれた人を、私は見たことがありません。

それよりも、ジタバタともがいた結果が良くても悪くても受け止めて次に進む。それが覚悟だと思います。労力さえ費やせば誰もが成功できるとは限りません。志望者全員が翻訳者となり、十分な収入が得られるのであれば、こんなに簡単な話はありません。どんなに時間とお金をつぎ込んでも、スタートラインに立てる保証はなく、折角なれたのに労力の割に大した収入にならない場合もあります。何の保証もない中で、自分はどうしたいのか。必死に考えて動くのが、最終的に心から納得できる結果に行きつくための唯一の方法ではないでしょうか。

それではまた。