医薬翻訳を独学するには

こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。

業界誌で好んで特集されるトピックのひとつに「翻訳者になるまでの勉強方法」があります。私も寄稿していますので、よろしければご覧ください。

  • 2018年版「メディカル翻訳・通訳 完全ガイドブック」イカロス出版
  • 2016年版「医学・薬学の翻訳・通訳 完全ガイドブック」イカロス出版

よく言われるように学問に王道はありません。王道はなくとも、最終的に力がつきさえすれば何をどの順番でやっても構わないと思います。そして、医薬翻訳の世界にも多くの翻訳者から支持を得ているコンテンツや定評のあるメソッドがあります。

今回は、製薬、医薬、治験分野の翻訳者を目指す人向けの学習方法のうち、アプリやWeb素材を活用しながら手軽に取り組めるものを少し、ご紹介したいと思います。興味のある方はどうぞ参考にしてください。 

 

臨床試験について学ぶには

ICR臨床研究入門(略称:ICRweb)

ICRweb

ICRweb

おススメの講座は?

ログインしていただくとわかるように、膨大な数の講座が収録されています。しかも毎月のように増え続けています!これがすべて無料で受講できます。

全部受けるのがベストですが、業務上の必要性に応じて選んでも構わないでしょう。

活用方法は?

パソコンとスマホの両方にインストールして、いつでもどこでも学習できる状態にしておきましょう。資料だけ先にダウンロードしておき、空き時間に読み進めておくのもいいですね。音声素材も充実しています。用途や好みに合わせて有効活用してみましょう。

 

全般的な医学知識やトレンドをおさえたい方は

何といっても『日経メディカル』です。アプリ、Facebookページ、Twitterアカウント、メルマガなど、さまざまなルートで情報を取得できます。

日経メディカル

日経メディカル 電子マガジン

日経メディカル 電子マガジン

  • Nikkei Business Publications, Inc.
  • 雑誌・新聞
  • 無料

また、医療機器もおさえておきたい方は『日経デジタルヘルス』も必読です。アプリはありませんが、Facebookページ、Twitterアカウント、メルマガ等でフォローできます。

日経デジタルヘルス

techon.nikkeibp.co.jp

 

医学英語の強化には

医学英語の学習素材として定評があるのは『New England Journal of Medicine (NEJM)』です。世界5大誌と言われる医学雑誌のなかでもコンテンツの充実度では群を抜いています。定期購読しているプロ翻訳者も多いと聞きます。2017年の時点で年間購読はオンライン版=定価 25,596円、雑誌+オンライン版=定価 41,580円ですが、まだ学習中でそこまで投資できないという方もいます。そこで、おすすめはこちら。

NEJM This Week(podcast)

NEJM This Week

NEJM This Week

  • The New England Journal of Medicine
  • メディカル
  • 無料
活用方法は?

このpodcastはとても聞き取りやすい英語ですから、リスニングが苦手な方でも安心して取り組めます。ディクテーションやシャドーイングの素材としても最適です。

オーディオ素材のスクリプトは公開されていませんが、論文の抄録であればウェブ上で読むことができます。

https://www.nejm.org/

抄録の和訳も一般公開されています。

The New England Journal of Medicine(日本国内版)

先にpodcastで聞き取りをしてから抄録を読んでも、抄録を読んで内容をつかんでからpodcastを聞いてもよいでしょう。

英語版と和訳版を使った対訳集作成も多くの学習者が取り入れている勉強方法です。英語ネイティブであっても英語版を読んで気に入った表現をストックするなど工夫をしています。ぜひ自分なりの活用方法を見つけてください。

NEJMで医学英語に慣れてきたら、The Lancet やJAMAなど、ほかの雑誌も読んでみるとよいでしょう。各誌の特徴なども分かってくると思います。この分野だったら○○誌だけど、この分野だったら○○誌だね、などといった感覚が身に付いてきたら上級者の仲間入りですね!

 

そもそも英文法があやしい人は

残念なことに、理系はとくに英文法が弱い人が目立ちます。心当たりのある方は受験英語に立ち返って復習してみましょう。

評判がよいのはこちらのアプリです。

スタディサプリ

ちなみに、文系で英文法や英文解釈があやしい人は、かなり厳しいです。少なくともメディカルの分野では相当難しいと思います。まずは英語の学校に通うなどして、基礎となる語学力を鍛えることをおすすめします。

 

背景知識を身につけたい方は

文系出身者に多いのが「生物?化学?一切記憶にございません」という方です。

翻訳に必要なスキルの一つに「調査力」が挙げられます。でも、だからといって原稿を貰ってからゼロから調べるやり方では、お客様が求めるレベルにまで仕上げるのは難しいでしょう。実務には締切があり、限られた時間の中でどこまでクオリティを高められるかが勝負です。知識があやふやなまま致命的な誤訳をして、お客様の信用を損っては、元も子もありません。

講義でも折に触れて話をしていますが、私は早い段階から背景知識も補強しておくことを強くおすすめしています。時間は作るものですから、スキマ時間など工夫をして関連領域だけでも目を通してみてください。

手始めに、こちらの2つなどいかがでしょう。

齋藤篤先生の苦手克服講座

齋藤篤先生の苦手克服講座

  • PHARMAFIELD, K.K.
  • 教育
  • 無料

これを見て、スラスラ理解できる方、少し思い出せばなんとか理解できそうな方、何を言っているのか全くイメージが湧かない方に分かれると思います。個々の状況に応じて次に取るべき方法が変わってきます。

 

最後に

今回は、医薬翻訳者のための勉強方法のうちアプリやWeb素材を活用して取り組めるものをご紹介しました。そして、これ「だけ」では差別化にはなりません。皆がやっていることは当たり前にした上で、どうやってオリジナリティを打ち出していくか。しっかり考えて準備しておけば、早々に市場から淘汰されることもなく、翻訳者として息の長いキャリアを構築できるのではないでしょうか。

それではまた。