こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。
体験授業などで必ずと言っていいほど聞かれる質問です。
「文系でバックグラウンドがなくてもメディカル分野の翻訳者になれますか?」
私はこのようにお答えしています。
もちろん可能性はあります。
ですが医薬分野のクライアントさんは、専門知識や経験を重視する傾向にあります。語学力では差がないことが前提ですが。
ですから、文系から医療系の翻訳者を目指す方は、語学が得意な理系出身のライバルに対抗できるだけの強みを確立する必要があると思います。
文系出身で第一線で活躍するメディカル翻訳者さんは大勢いらっしゃいます。その方たちに共通しているのは、とにかく勉強熱心であること。基礎となる語学力の強化はもちろん、最新の医療知識を得るための努力も怠っていません。
理系出身で順調に活躍を続ける方もいらっしゃいますが、語学が弱いまま放置していると、勉強熱心な文系に追い抜かれていく傾向にあります。国家資格があるからと油断するのか、学習が長引いて、なかなかプロデビューできない方も一定数おられます。
結局は、本人次第だと思います。
実際に生徒さんを見ていても、バックグラウンドの有無とは関係なく、優秀な方は素晴らしい翻訳をします。反対に、素養がない方、語学に問題がある方は、努力の割に報われない傾向にあります。これも文理関係ありません。
「文系か理系か」「語学力か背景知識か」こういったことを気にする学習者さんは大勢いらっしゃいます。私は「そんなことは気にしなくてよいのに...」と思っています。大した問題ではないからです。二者択一ではないからです。どちらかさえあれば済む話ではなく、必ず両方の要素がないと成り立たない仕事だからです。
両方とも持っていれば、素質ありです。片方しかなければ、補い、積み上げるしかありません。両方ともなければ、さすがに別の道を考えたほうがよいでしょう。
自分がいま、どういう状態で、どのステージまで来ているのか、正しく把握することも大事です。何が得意で、何が苦手なのか。苦手のうち、絶対に必要なものは何か。プロレベルに達するためには、苦手からどれくらいまで引き上げる必要があるのか。得意はどのように伸ばし、発揮すれば良いのか。
私は人の可能性には蓋がないと思っています。どんな道であれ、潜在的な可能性だけなら誰にでもあるのだと思います。ただし、可能性を花開かせるか、可能性のまま眠らせておくかは、本人次第です。行動の量と方向性で決まるだけの話です。そして時間は有限です。あっという間に過ぎ去ってしまいます。
ですから、アマチュアからプロになる第一歩、ゼロからイチの壁を突破するために必要なのは、期限を決めて集中的に取り組むことと、挑戦と成長を楽しむ気持ち。先を照らしてくれるロールモデルやメンターがいれば尚、良いでしょう。方向を間違えずに、望みどおりの結果がでるまで、大量の試行錯誤を続けてみてはいかがでしょう。どんなに長くても3年を上限として、学習最優先で、文字通り必死に頑張ってみてはいかがでしょう。もし、何をどうやっても兆しが見えなければ、そのときこそスッパリ次の道に進めばよいのだと思います。
それではまた。