医薬翻訳を独学するには

業界誌で好んで特集されるトピックのひとつに「翻訳者になるまでの勉強方法」があります。※私も寄稿していますので、よかったらご覧ください→新版 医学・薬学の翻訳・通訳 完全ガイドブック | 通訳翻訳WEB)。

学問に王道はありません。最終的に力がつきさえすれば、何をどうやってもよいわけです。

ですが、多くの人から支持を得ているコンテンツ、定評のあるメソッドというものは、確実に存在します。良質な情報を得てから準備をすれば、無駄が省けますから、より短い期間で成果を上げることができます。

今回は、メディカル翻訳者を目指す人向けの学習方法のうち、アプリやWeb素材を活用しながら手軽に取り組めるものを少しご紹介したいと思います。興味のある方は参考にしてください。

 

臨床試験について学ぶには

ICR臨床研究入門(略称:ICRweb)

ICRweb

ICRweb

  • e-Trial Co.,Ltd.
  • 教育
  • 無料
おススメの講座は?

ログインしていただくと分かるように、膨大な数の講座が収録されています。しかも毎月のように増え続けています!これがすべて無料で受講できます。

全部受けるのがベストですが、業務上の必要性に応じて選んでも構わないでしょう。

活用方法は?

パソコンとスマホの両方にインストールして、いつでもどこでも学習できる状態にしておきましょう。資料だけ先にダウンロードしておき、空き時間に読み進めておくのもいいですね。音声素材も充実しています。用途や好みに合わせて有効活用してください。

 

全般的な医学知識やトレンドをおさえたい方には

何といっても『日経メディカル』です。アプリ、Facebookページ、Twitterアカウント、メルマガなど、さまざまなルートで情報を取得できます。

日経メディカル

日経メディカル 電子マガジン

日経メディカル 電子マガジン

  • Nikkei Business Publications, Inc.
  • 雑誌・新聞
  • 無料

また、最近のトレンドである医療機器もおさえておきたい方は『日経デジタルヘルス』も必読です。アプリはありませんが、Facebookページ、Twitterアカウント、メルマガ等でフォローできます。

日経デジタルヘルス

techon.nikkeibp.co.jp

 

医学英語の強化には

医学英語の学習素材として定評があるのは『New England Journal of Medicine (NEJM)』です。世界5大誌と言われる医学雑誌のなかでもコンテンツの充実度では群を抜いています。プロの翻訳者は定期購読をしている人が多いと思いますが、学習中でそこまで投資できない、という方もいます。※年間購読は、オンライン版=定価 25,596円、雑誌+オンライン版=定価 41,580円

おススメはこちら。

NEJM This Week(podcast)

NEJM This Week

NEJM This Week

  • The New England Journal of Medicine
  • メディカル
  • 無料
活用方法は?

このpodcastはとても聞き取りやすい英語ですから、リスニングが苦手な方でも安心して取り組めます。ディクテーションやシャドーイングの素材としても最適です。

 オーディオ素材のスクリプトは公開されていませんが、論文の抄録であればウェブ上で読むことができます。

http://www.nejm.org/

抄録の和訳も一般公開されています。

The New England Journal of Medicine(日本国内版)

先にpodcastで聞き取りをしてから抄録を読んでも、抄録を読んで内容をつかんでからpodcastを聞いてもよいでしょう。

英語版と和訳版を使った対訳集作成も、多くの学習者が取り入れている勉強方法です。英語ネイティブであっても英語版を読んで気に入った表現をストックするなど工夫をしています。ぜひ自分なりの活用方法を見つけてください。

NEJMで医学英語に慣れてきたら、The Lancet やJAMAなど、ほかの雑誌も読んでみるとよいでしょう。各誌の特徴なども分かってくると思います。この分野だったら○○誌だけど、この分野だったら○○誌だね、などといった感覚が身に付いてきたら上級者の仲間入りですね。

 

そもそも英文法があやしい人には

残念なことに、とくに理系は英文法がいい加減な人が目立ちます。心当たりのある方は受験英語に立ち返って復習してみてください。

評判がよいのはこちらのアプリです。

スタディサプリ

今回ご紹介するなかで唯一有料ですが、月々980円です。例えば3か月あるいは6か月というふうに期限を決めて集中的に取り組めば、投資する価値は十分にあると思います。

ちなみに文系で英文法があやしい人は、かなり厳しいです。というより無理です。医薬翻訳云々以前に、英語の学校に通うことをおすすめします。

 

生物学の基礎知識を身に付けたい方には

文系に多いのが「生物?さて何でしたっけ...」という方。長い目でみれば、基礎知識がないために誤訳につながり、お客様の信用を損ねる原因になりかねません。仕事をするようになると、まとまった時間を確保するのが難しくなります。学習期間中であれば十分な時間がありますから、関連のある領域だけでも目を通しておくと良いでしょう。私は、早い段階から背景知識も併せて補強しておくことをおすすめしています。

背景知識というと、最初から臨床医学や薬学の勉強に取り組む方が多いのですが、これは語学力がないのに翻訳の勉強を始めるのと同じくらい危なっかしい方法です。もちろん、要領のよい方で理解に問題がなければ、そのままで構いません。学生時代に勉強した記憶がない方や、すっきりしない部分が残る方は、たとえ遠回りに思えても基盤づくりに立ち返ってみてはいかがでしょう。

高校生物

 

最後に

今回は多くのメディカル翻訳者が取り入れている勉強方法のうち、無料アプリやWeb素材を活用して取り組めるものを少しご紹介しました。もちろん、これだけでは差別化にはなりません。皆がやっていることは当たり前にした上で、どうやってオリジナリティを打ち出していくか。しっかり考えて準備しておけば、早々に市場から淘汰されることもなく、翻訳者として息の長いキャリアを構築できるのではないでしょうか。

以上、ご参考まで。