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医薬翻訳を独学するには

語学・翻訳

こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。

 

業界誌で好んで特集されるトピックのひとつに「翻訳者になるまでの勉強方法」があります。

 

※私自身も寄稿したことがありますので、よかったらご覧ください→新版 医学・薬学の翻訳・通訳 完全ガイドブック | 通訳翻訳WEB)。

 

よく言われるように学問に王道はありません。最終的に力がつきさえすれば、何をどうやってもよいわけです。

ですが、多くの人から支持を得ているコンテンツ、定評のあるメソッドというものは、確実に存在します。良質な情報を得てから準備をすれば、無駄が省けますから、より短い期間で成果を上げることができます。

今回は、メディカル翻訳者を目指す人向けの学習方法のうち、アプリやWeb素材を活用しながら手軽に取り組めるものをご紹介したいと思います。興味のある方は参考にしてください。

 

臨床試験について学ぶには

ICR臨床研究入門(略称:ICRweb)

ICRweb

ICRweb

  • e-Trial Co.,Ltd.
  • 教育
  • 無料
お勧めの講座は?

ログインしていただくと分かるように、膨大な数の講座が収録されています。しかも毎月のように増え続けています!これがすべて無料で受講できます。

全部受けるのがベストですが、業務上の必要性に応じて選んでも構わないでしょう。

どれを受講してよいか分からない!という方には、手始めに、以下の組み合わせをお勧めします。

  1. 『臨床研究の基礎知識講座(旧 臨床研究入門初級編)』

    → 全9講座 

    ※所要時間の目安は4時間ほど

  2. 『臨床試験入門講座(JCOG臨床試験セミナー)』

    → 2. がん臨床試験のデザイン

    → 3. RECISTとCTCAE

    → 6. がん臨床試験で必要な最低限の統計知識

    ※所要時間の目安は2時間30分ほど

  3. 『生物統計基礎セミナー』

    → 全14講座

    所要時間の目安は12時間30分ほど

1日2時間ずつでもコツコツ取り組めば、たったの10日で終わる分量です。ぜひ取り組んでみてくださいね。

活用方法は?

パソコンとスマホの両方にインストールして、いつでもどこでも学習できる状態にしておきましょう。資料だけ先にダウンロードしておき、空き時間に読み進めておくのもいいですね。音声素材も充実しています。用途や好みに合わせて有効活用してください。

注意点

ICRwebは「臨床研究に関わる人のe-ラーニングサイト」です。JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)と呼ばれる共同研究班が母体であるため、ここで扱う講座はすべて「がん分野」に特化した内容です。

がんとその他の領域では臨床研究や臨床試験の進め方が異なります。

ところが実務では領域の区別なく翻訳をする必要がありますから、両者の違いを把握しておかないと大変です。

何がどう違うのかは『臨床研究コーディネーター講座1 -導入研修-』の『1. 医薬品の開発と臨床試験(一般薬と抗がん剤の違い)』に分かりやすくまとまっています。少なくとも一度は目を通してみてください。

 

全般的な医学知識やトレンドをおさえたい方には

何といってもまずは『日経メディカル』です。アプリ、Facebookページ、Twitterアカウント、メルマガなど、さまざまなルートで情報を取得できます。

日経メディカル

日経メディカル 電子マガジン

日経メディカル 電子マガジン

  • Nikkei Business Publications, Inc.
  • 雑誌・新聞
  • 無料

また、最近のトレンドである医療機器もおさえておきたい方は『日経デジタルヘルス』も必読です。アプリはありませんが、Facebookページ、Twitterアカウント、メルマガ等でフォローできます。

日経デジタルヘルス

techon.nikkeibp.co.jp

 

医学英語の強化には

医学英語の学習素材として定評があるのは『New England Journal of Medicine (NEJM)』です。世界5大誌と言われる医学雑誌のなかでも、コンテンツの充実度では群を抜いています。プロの翻訳者であれば定期購読がお勧めですが、学習段階でまだそこまで投資できない、という方も多いようです。

※年間購読は、オンライン版=定価 25,596円、雑誌+オンライン版=定価 41,580円

 

お勧めはこちら。

NEJM This Week(podcast)

NEJM This Week - Audio Summaries

NEJM This Week - Audio Summaries

  • The New England Journal of Medicine
  • 医学
  • ¥0
活用方法は?

こちらのpodcastはとても聞き取りやすい英語ですから、リスニングが苦手な方でも安心して取り組めます。ディクテーションやシャドーイングの素材としても最適です。

オーディオ素材のスクリプトは公開されていませんが、それぞれの論文の抄録をウェブサイトから読むことができます。

http://www.nejm.org/

抄録の和訳も一般公開されています。

The New England Journal of Medicine(日本国内版)

まずはpodcastで聞き取りをしてから抄録を読んでも、反対に抄録を読んで内容をつかんでからpodcastを聞いてもよいと思います。

英語版と和訳版を使った対訳集作成も、多くの学習者が取り入れている勉強方法です。英語ネイティブであっても英語版を読んで気に入った表現をストックするなど工夫をしています。ぜひ自分なりの活用方法を見つけてください。

NEJMで医学英語に慣れてきたら、The Lancet やJAMAなど、ほかの雑誌も読んでみるとよいでしょう。各誌の特徴なども分かってくると思います。この分野だったら○○誌だけど、この分野だったら○○誌だね、などといった感覚が身に付いてきたら上級者の仲間入りです。

 

そもそも英文法があやしい人には

残念なことに、とくに理系は英文法がいい加減な人が目立ちます。心当たりのある方は受験英語に立ち返って復習してみてください。

評判がよいのはこちらのアプリです。

スタディサプリ

今回ご紹介するなかで唯一有料ですが、月々980円です。例えば3か月あるいは6か月というふうに期限を決めて、集中的に取り組めば、十分に投資する価値はあると思います。

 

生物学の基礎知識を身に付けたい方には

文系に多いのが「生物学???まったく記憶にございません」という方。長い目でみれば、基礎知識がないために誤訳につながり、お客様の信用を損ねる原因になりかねません。仕事が始まると、鉄の意志がある人でない限り、まとまった時間を確保するのが難しくなります。学習期間中であれば十分な時間があります。早い段階から背景知識も併せて補強しておくことを強くお勧めします。

高校生物

 

最後に

いかがでしょう。ご紹介したものはどれも、多くのメディカル翻訳者が取り入れている方法ばかりです。逆に言うと、これだけでは他の人と差はつきません。

さらに上を目指したい方は、皆がやっていることは当たり前にこなした上で、自身の特徴や売りをどうやって打ち出していくかも考えて準備しておくとよいでしょう。そうしておけば、翻訳者として息の長いキャリアを構築できるのではないでしょうか。

 

以上、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

参考になれば幸いです。

 

◆翻訳、執筆、講師のご依頼は こちら から