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卵巣がん以外では初めてPARP阻害剤の効果が証明されました(OLYMPIAD試験より)

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こんにちは。メディカル翻訳者&メディカルライターの山名文乃です。

 

関係者には注目度大のニュースではないでしょうか。

 

プレスリリース原文

Lynparza meets primary endpoint in Phase III trial in BRCA-mutated metastatic breast cancer

プレスリリース翻訳文

アストラゼネカのolaparib、BRCA遺伝子変異陽性転移性乳がんの第III相試験で主要評価項目を達成

※私の翻訳ではありません。

 

概要

転移性乳がんの患者さんのうち、BRCA遺伝子変異陽性かつHER2遺伝子変異陰性である方を対象に第III相試験と呼ばれる大規模な治験が行われました。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)です。標準的な化学療法と比較して、オラパリブの投与をうけた患者さんのPFSは統計学的に有意に延長されました。今回、卵巣がん以外では初めて第III相試験でPARP阻害剤の薬効が示されたことに意義があります。

※BRCA遺伝子変異陽性=検査キットでBRCA遺伝子の異常が検出された。

※主要評価項目=治療効果を示す指標の1つ。あらかじめ設定した指標のうち一番に立証したい項目をいう。

※PFS=治療中または治療後にがんが進行せず安定した状態である期間。

 

BRCA遺伝子とは

BRCA(BRCA1/2)遺伝子は誰もが持っている遺伝子です。細胞のDNAが傷ついたときに正常に修復してくれる働きがあります。BRCA遺伝子に家族から受け継いだ先天性の異常があると、DNAの修復機能が失われ、ほかの遺伝子変異まで加速させてしまいます。その結果、乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高まることが分かっています。この発症リスクは年齢が上がるごとに高まると推計されています。

 

オラパリブとは

成分名(一般名):オラパリブ(olaparib)、製品名:リンパルザ(Lynparza)

米国や欧州でBRCA遺伝子に変異がある進行卵巣がんの患者さんに使用が認められている治療薬です。日本ではまだ承認されていません。
 

PARP阻害剤とは

PARP:ポリADPリボースポリメラーゼ

BRCA遺伝子に変異があってDNAの修復機能が失われたがん細胞を特異的に細胞死させる分子標的薬です。通常であればBRCA遺伝子に変異があるとがんになりやすいわけですが、逆に変異がある患者さんにはPARP阻害剤が効きやすいのです。オラパリブはPARP阻害剤の一種です。

卵巣がんの抗がん剤治療ではプラチナ製剤とタキサン系製剤を組み合わせるのが一般的です。すると、なかにはプラチナ製剤が効かなくなってしまう患者さんもでできます。このように通常の治療が効かなくなった患者さんにも効きやすい薬として登場したのがPARP阻害剤です。オラバリブのほか、ベリパリブ、ニラパリブ、ルカパリブなど、いずれも日本では保険適用されていない未承認薬です。

 

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