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ご存じですか?「ゼブラフィッシュ創薬」

ここ数年、熱帯魚「ゼブラフィッシュ」を活用した創薬研究が注目を集めています。

www.mie-u.ac.jp

創薬とは、薬になりそうな物質をふるいにかけて選び抜き、薬を作り上げていくプロセスをいいます。まず、マウスやラットなどの哺乳類動物を使って、薬になりそうな候補の物質が安全であるか、病気を治す効果があるかを確認します。この過程を「非臨床試験」といいます。非臨床試験をクリアすると、今度は、人間と薬の候補で行われる「臨床試験」です。人間が服用しても安全で、効果があると証明されれば、晴れて「薬」として広く販売することができます。

非臨床試験は、薬を作るうえでは欠かせませんが、動物福祉の観点からは、できるだけ少なくするべき、あるいは廃止するべきと考える動物愛護団体も多く存在します。

そこで、哺乳類を使わずに非臨床試験をするために、胚性幹細胞(ES細胞)や、ノーベル賞で有名になった人工多能性幹細胞(iPS細胞)のように、ヒトの体の一部から作る細胞を活用できないかと注目されています。同じくらいに有望視されているのが、熱帯魚ゼブラフィッシュです。

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ゼブラフィッシュは主な臓器や組織の構造や発生が人間と似ています。遺伝子配列もヒトに近いことが分かっています(相同性80%)。ですから、哺乳類よりもはるかにヒトを模した状態で試験ができるのです。また、飼育が容易で場所を取らないことも利点の1つです。すでに米国の国立衛生研究所では、マウス、ラットに次いで、ゼブラフィッシュが非臨床試験の動物として認められています。さらに、薬をつくる際の国際的なルールを決めるICHという会議でも、ゼブラフィッシュを使った非臨床試験を正式に認めていこうと、議論が進んでいます(ICHのS5ワーキンググループにて2018~19年を目標に議論が進んでいます)。

また、非臨床試験だけでなく、人間の治療にも応用できないか検討されています。たとえば、がん患者さんの患部組織をゼブラフィッシュに移植して、培養します。96個のウェル(くぼみ)がある「ZFプレート」と呼ばれる特別な道具を使うと、1回の検査で96の組み合わせを検証できるため、その患者さんにどの薬をどれくらい投与すれば一番効き目があるのか、短時間に、より着実な方法で確かめることができます。このようにしてゼブラフィッシュを使った「個別化医療」、すなわち、一人ひとりに合わせた医療を実現できると期待されているのです。

www.funakoshi.co.jp

 

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